【レビュー】鉛筆……?面白いけど「サンスター文具 metacil」
芯を削らないで使える鉛筆?
色々なところで話題になっているmetacil(メタシル)を買ってみました。なんと削らないで使える鉛筆ということ。それって本当に鉛筆なのか?と皆さんもお思いだと思いますが、僕も思いました。そして、結論から言うと、鉛筆じゃないと思います(個人の感想)。
黒鉛を含む謎の合金が芯に採用されています。どうやらその合金がほんの少しずつ削れていくことで、紙に線を残すらしい。つまり、無限に書けるわけではなく、本当に少しずつではありますが、先端は消耗していきます。
公式には16km書けると言われていますが、鉛筆でkm数を考えたことなんてないので、僕ら一般庶民にはしっくり来ません。というか、「文字あたりの距離」なんて発想が宇宙すぎて、誰も考えたこともなさそうです。
ためしに我らが千葉県で、だいたい16kmがどんなものなのかを計ってみました。
だいたい千葉駅~船橋駅までが直線距離で15.70kmくらいだったので、それを紙の上でというと、ほぼ無限に字が書けるような気がしてきました。
メタシルの外見
ぱっと見にはタッチペンにも見えるメタシルですが、芯は黒鉛を含む謎の合金、軸も金属(アルミ)製ということで、持ってみると意外とずっしり、高級感があります。
長さは普通の鉛筆より少し短いくらい、あとひねると先っぽが取れます。
Apple pencilと同じように、先端が摩耗してきたら交換できるということなのだと思いますが、今のところこの先端部分の替えパーツの販売はなさそうでした。16kmも使い切ってこの先端を交換する人なんているんでしょうか。
あとは写真を見ても分かるように、鉛筆と同じようにカクカクしています。よくある鉛筆の6角形ではなくて8角形です。ペンの持ち方にもよりますが、僕の場合は6角形のほうが手のすわりがいいので、できれば6角形がよかった。正直、気持ちの問題ですけどね。
メタシルの書き心地……濃さは「2H」
肝心の書き心地ですが、濃さは鉛筆で言う「2H」らしい。
そもそも鉛筆で「2H」を体感したことがないという問題があります。鉛筆といえば、BかHB、気分によっては2B、盛り上がってくると「いんば鉛筆」(←書写の授業で配られる、マットシルバーのかっこいいやつ)だったので、薄さでは「HB」までしか経験したことがありません。
HBから何レベル上の存在なのかもわかりません。今調べたところ、「2B→B→HB→F→H→2H」だろうです。F……?
おそらくものすごく「薄くて硬い」ものなのだろうなあとは思ってはいました。なにせ先端は「黒鉛を含む謎の合金」でできており、すなおに金属なわけですから。
案の定ですが、薄く、そして紙をひっかいている感じがすごくする。シャーペンの芯が出ていない状態で、間違って紙に字を書いてしまうときの感覚にすごく似ています。
なんども重ねて書くことで、ある程度の濃さは得られるのですが、そうすると紙に金属のあとがひどく残ります。
「鉛筆の代わり」のようなうたい文句で出てきていますが、ちょっとそれは難しいかな?という感覚です。小学生がテストをメタシルで書いて提出してきたら、学校の先生は困るだろうなと思います。
あくまでちょっとしたメモ取りや、僕みたいな文房具に目のない人間が所有欲を満たすために買うものなのかなあと思います。
メタシルは消しゴムで消せるらしい
メタシルの公式サイトには「消しゴムで消せる」とあります。メタシルは「金属鉛筆」ですから、消しゴムで消せる必要があったわけですね。
芯の材質は「黒鉛を含んだ(謎の)合金」となっています。消しゴムは黒鉛をゴムで絡め取って消します。「(謎の)合金」の部分が気になりますが、ひとまずさっき試し書きした文字?を消しゴムで消してみました。
使用した消しゴムは消しゴムの王様「MONO」です。
確かに消えると言えば消えるのですが、やはり「(謎の)合金」の部分が消しゴムに絡め取られず紙に残ってしまうのでしょうか? もともとの薄さを考えると消えきっていないことや、上述した硬さゆえの「紙に残るペンのあと」のせいで上から重ねて書けるような状態にはなりませんでした。
筆圧が特に強いというわけでもないのですが、書いても書いても薄いせいで、いつも以上に筆圧が強くなってしまうんでしょうか……。いまいちな結果になってしまいました。
まとめ:メタシルは面白いし所有欲を満たすが実用的ではない
買ってからしばらく経ちましたが、使用したのは最初の1日だけです。その理由は、
①字が薄い ②字が薄い ③消しゴムで消せる必要はあまりない
まずメタシルの「2H」相当の濃さがとてもネックです。あまりにも薄すぎて、1mくらい離れたところから書かれた文字を視認できません。PCの側にメモ取り用に置いておくとしても、何を書いてあるのか近づいてしっかり見ないといけないメモは使い勝手が悪すぎる。メモは視認性がなによりも大事だとわかりました。
また、メインの筆記具として使うにも、社会人の僕が「消せる筆記具」を使うシチュエーションはそれほどありません。鉛筆は独特の書き心地やにおい、質感があるので、昔を思い出して(過ぎ去った過去に想いを馳せながら)たまに使いたいと思わせるのですが、残念ながらメタシルにはそれもありません。
面白い商品ではあると思いますし、質感もよく欲しいと思わせる要素はたくさん併せ持っていますが、
16キロ書ける→そもそも普通のボールペンですら使い切るのに時間がかかる
鉛筆っぽい質感→薄すぎるし、それなら鉛筆を使う
消しゴムで消せる→消せない
と、どの部分をとっても他の筆記具のほうがいいなあという感じです。
ずいぶんと批判的な内容になりましたが、面白い商品ではあります。この筆記具のアイデアというか、目新しさは実際に触れてみて感じてもらいたいとも思っています。
お値段は¥990と、ギリギリ無駄遣いできる値ですし、周りの人から「え!? なにそれ!?」と言われ、ちょっとした人気者になることうけあいです。僕はそのお金でフリクション5本買います。
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