【感想】クロノ・トリガーは確かに面白かった【平成のゲーム 最高の一本:一位】

【感想】クロノ・トリガーは確かに面白かった【平成のゲーム 最高の一本:一位】

1995年に発売されたクロノ・トリガーがファミ通が行った平成のゲームランキングかなにかで1位になりました。2位がSwitchを売りに売らせた「ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド」ということで、直近のもののほうが評価が高くなる傾向があるこうしたランキングの中で、今から20年以上も前に発売されたゲームが一位となること自体がすごいことです。それほどまでにクロノ・トリガーが当時のゲームファンに与えたインパクトは絶大だったと言えます。

Steamで安かったから買った

▲今は1980円だが、安い時は安い

いつのセールだったかは忘れたのですが、SQUARE ENIXの製品が軒並み安くなっていたときに、クロノ・トリガーも数百円で買える価格にまで値引きされていました。

1995年といえば僕の少年時代でもあります。当時それほどゲームに興味を示さなかった僕は、そういうゲームがあるということは知っていましたが、実際にプレイすることも、プレイを見ることもなく、気づけばこの歳になっていたのでした。

同年代の飲み会や友人との会話の中で、子供の頃はまったものとして、ときおり「クロノ・トリガー」の話題がでます。そのたびに、僕はしゅんと萎れ、枯れ枝のようになるしかありませんでした。

PCを新調し、ゲームができるスペックになったこともあり、何かできるゲームはないかとSteamを巡行していたときに見つけたのが「クロノ・トリガー」でした。クロノ・トリガーについて、周囲の人が語るとき、その全員が「面白かった」と言います。一人が面白さを熱く語るのではなく、その全員が「面白かった」というクロノ・トリガーは、どれほど面白いのでしょうか。

もう最近の、人をピストルで撃つような、3Dでヌルヌル動くゲームは難しくてできないので、2D RPGのクロノ・トリガーはちょうど良さそうだということで、久々にやるゲームとして「クロノ・トリガー」をチョイスしました。

忙しいRPG「アクティブタイムバトル」

RPGってコマンド入力する間の時間は無限で、たとえばボス戦の真っ只中でも、調べながら、計算をしながら、あるいはトイレにいったり食事をしたり、かなり落ち着いてできるイメージがありました。

最近のRPGはもう完全なターン制のものはほとんどなくなっていて、どちらかというとアクションRPGが増えてきているとは聞いていますが、SFC時代のドラクエに代表されるレトロなRPGは古き良きターン制です。当然、クロノ・トリガーもそうだろうと思っていたのですが、違いました。

敵も味方も全てのキャラが独立に次の行動までのクーリングタイムのようなゲージを持っていて、それが溜まったキャラから順繰りに行動できるという、「アクティブタイムバトル」システムがクロノ・トリガーでは採用されています。

▲下のグレーのゲージがたまらないと行動できない。

設定を変えることで普通のターン制にもできるようですが、「ウェイト(ターン制)を選ぶやつは友達じゃない」という僕の数少ない友達からの脅しに屈し、僕はアクティブタイムバトルを選びました。

コマンドを選ぶのも時間が命です。ゆったり選んでいると敵からどんどん攻撃されます。回復薬をゆったり選んでいると、敵がのこりのHPを刈り取りにきます。最初のザコ敵との戦闘で、僕は死にました。

タイムリープと複雑なストーリー

クロノ・トリガーは時計がモチーフになっていることからもわかるように、時間がテーマのゲームです。時を超えるゲートが各地に点在しており、それを利用して過去にいったり未来にいったり色々できます。(途中からは「シルバード」といういわゆるタイムマシンで自由に行き来ができるようになります。)

▲主人公たちのタイムマシン「シルバード」。名前は自由に設定できる。

ストーリーも、もちろんタイムリープが絡んだものになっており、端的にいうと、未来に発芽し地球を喰い殺す「ラヴォス」から地球を守ろうというような内容です。各時代を冒険して仲間を増やしながら、その時代のかかえる問題を解決しつつ、最終的には「ラヴォス」と戦う。

こう書くとそれまでのように見えるかもしれませんが、たとえば古代の時代での主人公たちの行いによって、未来が変化して、また未来の現状を打破するために過去に遡って……、というように、一枚のフィールドではなく、複数のフィールドを行ったり来たりして、ゲーム世界の全容が見えにくくなっています。

現代でケチな村長からあるアイテムを返してもらわないといけないのに、その村長は「そんなもの知らん」の一点張りで話が進まない。そこで、中世にいって、その時代の村長の祖先に当たる人を人助けすることで、その一族に「困った人がいたら人助けしろ」という家訓を作らせ、現代の村長の性格を書き換えるみたいな。しかもそれがノーヒントで、かなり柔軟な発想をもっていないと発見するのが難しい。そんな要素がたくさんありました。

SFCにしては考えられないボリューム

僕がプレイして、クリアまでにかかった時間は28時間でした。SFCのゲームだし、せいぜい10時間程度だろうとたかを括っていたのですが、甘かったです。もちろん、もっとはやく倒すことはできるとは思いますが、わりと凝り性なタイプの僕は、全てのイベントが終わっていないと気が済まないし、アイテムもできる限り回収したい。なんならザコ敵との勝負もすべてしっかりやりたい。そんなスタンスだったので、この時間になってしまったという側面もあります。

言い換えれば、やり込み要素が多いゲームだということにもなります。原始・古代・中世・現代・未来と同じ広さのワールドマップが5つも用意されていて、それぞれが別の世界になっているわけですから、全部回り切るのはそりゃ大変です。

▲荒廃した未来。島の形はそのままに、世界が暗くどんよりしている。

しかもその上、クリア後の二周目以降にもきちんと意味があり、たとえば「強くてニューゲーム」だとか、二周目以降しか入れないダンジョンがあったりだとか(これはリメイク版にしかないらしい)、とにかくとんでもないボリュームで、フリーゲームを遊くらいの軽い気持ちではじめた僕からすれば、かなり重いゲームとなりました。

キャラクターの魅力

鳥山明がキャラクターデザインをしていることもあって、どことなく見覚えのあるようなキャラが主人公サイドにも、敵サイドにも多くいます。

初期からずっと仲間として一緒に冒険をする、幼馴染の女の子の「ルッカ」は、発明家ポジションでもあり、色々な発明品で僕たちを支援してくれるキャラクターです。どこか見覚えのあるメガネをかけたその容姿は、「Dr.スランプ」のアラレそのもので、キャラ名の設定を「アラレ」にしたこともあって、改めて「ルッカ」と言われてももはやしっくりきません。もしかしたら「ルッカ」じゃなくて「ロッカ」「ラッカ」だったかもしれません。そのくらい、見覚えのある容姿のキャラクターが多かった。

▲アラレ

普通は仲間にならないような、超重要なキャラが仲間になることにも驚きました。仲間にしないで攻略することもできるみたいですが、僕がたどった攻略ルートでは、彼の存在はかなり大事なものとなっていたので、仲間にしない場合はどのようになるのかが気になります。

そう、ストーリーに絡むようなすごく大事なキャラでも仲間にしないことを選択できたり、「ラヴォス」の倒し方すらいろいろあったりで、このゲームはかなりの自由度がありました。

自由度の高いストーリー

▲天空の王国「ジール王国」。主人公たちが進撃の巨人なみにデカい。

一本道のストーリーではなく、自由度が非常に高いストーリーであることも、このゲームの高評価の要因だと思います。特に、いつゲームをクリアにするかという部分が自由だということが、昔のゲームでありながら、すごく斬新に思いました。

ラスボスの「ラヴォス」の倒し方は基本的には二種類あり、一つは「黒の夢」という正統なラスボス前ダンジョンから攻略して、その結果最終決戦となるパターン、もう一つはラヴォスが世界を滅ぼす「世界滅亡」という時代に直接乗り込み、そのままラヴォスをしばくパターンです。

特に「世界滅亡」時代にそのまま乗り込むパターンは、実は序盤から選択することができ、キャラの強ささえ整っていれば、いつでもゲームクリアにたどり着くことができるようになっているのです。

僕自身も攻略サイトなどに頼らずほぼ自力でプレイしていたため、誤ってラヴォスに突進してしまうことが二度ありました。そのくらい、簡単にチャレンジできます。

そして、もちろん、はやめにゲームクリアにたどり着くと、本来その後展開される予定だったストーリーやイベントが起きていない状態になってしまうため、エンディングが変わります。今ふと調べてみたところ、バッドエンドも含めると、全部で14種類ものエンディングが用意されているみたいです。

また、ラストダンジョン「黒の夢」に挑戦できるようになったあと、そのまま突っ込んでもボコボコに返り討ちにされてしまう(可能性が高い)ため、もう少しキャラを育ててくることを求められるのですが、これがもはやオープンワールドのゲームみたいになります。

そこからは何のヒントもなく(実は少しはあるらしい)、5つの時代のマップをタイムマシンを駆使しながら行き来して、人助けをしたり、未踏のダンジョンを攻略したり、いろいろなことができます。

そのせいで、僕はだいたい全てのイベントをクリアしたあとでも、「まだ何かあるんじゃないか」と無意味に世界を飛び回っていて、人生で最も無駄な時間の使い方の一つをしました。

まとめ:クロノ・トリガーは面白かった

ということになります。長い長いとは文句を言っていましたが、最後のラヴォス戦ではむしろもっと続いてくれという気持ちすら起こってしまうくらいには、僕はクロノ・トリガーの世界にのめり込んでいました。

▲寄り道しすぎてラスボスが余裕になってしまった

ちなみに、最終パーティは、クロノ・カエル・エイラの脳筋トリオで、少しレベリングしすぎたせいもあり、ラヴォスは僕の前でなすすべもなく灰になりました。

(最後、ルッカではなくマールだったのには、少し脳が破壊されました。)